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Betise

他者の苦痛を共有することなど、出来るはずがない。
己の苦痛の全てが、他者に理解できないように。

「オレは、弱いから…」

その言葉を紡ぐ毎に、彼は今、どれほどの痛みを感じているのだろうか。
許容量を超えて溢れ出した涙で頬を濡らしながら。
彼の心は、一体どれほどの苦痛を感じ、叫んでいるのだろうか。

「だから、いつか…もしかしたら、もう…オレは壊れているのかもしれない」

苦い嗚咽を飲み込み、震える声で紡がれる言葉。
耳が、ひどく痛い。
胸が、苦しい。
たとえば、これが彼の感じているものと同等のものであれば。
あるいは、僅かでも同じものであれば。
共に、壊れることができただろうに。

「本当は、言わなくちゃいけないんだ。でも、弱いオレはそれを口にすることも怖くてできない」

さようなら、と。
欠けてしまった部品がどうしても直せず、欠けたまま動き続けてきたボロボロの身体と心が完全に壊れてしまう前に。
愛する人に、愛していると言える内に。
“愛していました”と言わなければいけないのに、言えない。

臆病だから言えない、と。
血を吐くように紡がれた彼のその言葉に、心臓を抉られるような激しい痛みに襲われた。
呼吸ができなくなるほどの、激痛だ。

「…だって、あなたを傷付けることになったとしても…」

所詮は、他人。
生まれた場所も、育った環境も、思考回路も、何もかもが違う。
どれほど願ったとしても、“自分”と“他人”の間にある明確な境界線を取り除けない。
己のものとは別の心を持った者の痛みを、共有することなど出来るはずがない。
だが、それでも。

「オレは、あなたを愛したい」

この、激痛は。
心臓を鈍い刃物で抉られるような、じわじわと押し寄せるこの激しい痛みは。
紛れもなく彼のものであり、自分のものだと思う。
全く同じ痛みだ、と。

「あなたに、愛されたい」

痛みを、噛み締める。
呼吸ができなくなるほどの、この歓喜の激痛を。
そうして、それを共有できる幸福感を抱きしめて。
この惑星に生きる全ての生命体の中でたった1つのこの特別な命を、ただただ想った。

  それでも愛し合うことを愚行だと嗤うのならば、心臓など要らない


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***
大切な人の痛みを感じることで、大切な人を傷付けた誰かを恨み、その憎悪を大切な人を護る強さに変えられる人。
「愛情」と「憎悪」は対義語ではなく、同義語でもあると思う。

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