誰かについて座談会 80,000colpire記念 - eterna

誰かについて座談会 80,000colpire記念

A「ハイン、事件です」
H「は?事件?」
A「もうこれは大事件」
H「何があったんだ?」
A「この破壊力はすごいよ。もうね、これは一種の兵器だよ。オレは一撃でやられたよ」
H「?」

D「なぁ、あいつらは何をやっているんだ」
F「さぁ?先程、アル君が何かを拾われたようですが…」
G「それって、アルフレード君が手に持っているアレですよね。小さい紙、ですかね」
D「事件とか言っているぞ」
F「アル君の様子を見る限り、どちらかと言えば楽しそうですが」
D「あー、だな。しかも、嬉しそうだ」
G「何か良いものだったんでしょうか。あ、ボスが見せろと強請り始めましたよ」
F「ですが、アル君は見せるのを拒んでおられるようですね」
G「ボスには見られたくないものだったんでしょうか」
D「俄然、気になってきたな」
F「えぇ、とても」
G「ボスもかなり気になっているようですよ。あそこで実力行使に出ないのがボスですよね」
F「力ずくで奪おうと思えば奪えますからね。ですが、アル君を相手にそんなことはしませんよ」
D「俺たちもそんなことはしないが、気になるものは気になる。よし!おーい、アルフレード!」

A「あ、先生」
D「さっきから何をしているんだ?」
A「え?ふふ、素敵な贈り物を貰ったんです」
D「贈り物?拾った、ではなく?」
A「落し物かと思って拾ったものが、オレへの贈り物だったんです。ほら、宛先にオレの名前」
D「落とし主…じゃなく、送り主は…あざさ?」
A「えぇ。先生には、特別に見せてあげますね」
H「アル、俺には」
A「見たい?」
H「あぁ」
A「それなら、1つだけお願い聞いてくれる?」
H「当然だ。そんなことなら交換条件など必要ないが、願い事とは何だ?」
A「あのね、ハインについての座談会をしたいな」
H「は?」
D「ん?それは、アレか。以前、アルフレードについてやったアレか」
F「《誰かについて座談会》ですね」
G「あ、やりましたね。確か、7万hit記念だとかあざさが言って」
F「えぇ、それです。ということは、今回も同様の理由のようですね」

A「ね?やってもいい?」
H「…やるのはいいが、楽しいか?」
A「うん、楽しいよ!ね、先生」
D「おぅ!なかなか面白そうじゃねぇか。あんなこととかこんなことを暴かれやがれ」
H「ドクター…」
F「しかし、それは面白そうですね」
G「確かに。面白そうです」
H「お前ら、俺が上司だと忘れているだろう…」




[01] 彼の第一印象について

D「強烈」
F「鮮烈」
G「衝撃」

A「バラバラのようで、実はみんな同じ印象だね」
H「……」
A「先生はどうしてそう感じたんですか?」
D「いろいろな意味で“強烈”だったな。上等なスーツを着て、エグゼクティブなオーラを隠そうともしないで、誰にも懐かず靡かない獣みたいな瞳をして…」
A「先生がハインに初めて会ったのは、オレの定期検診の日でしたよね」
D「あぁ。一国の王みたいな男が突然乗り込んできて、お前を甘やかし始めたのを見たときは驚いたし、あの強烈な光景は今でも忘れられないな」
A「ギャップが、ですか?」
D「いや、お前に向けた眼差しの穏やかさが、だ。普通の男が愛する者に向けるそれと同じようで、比べものにならない何かがあった」
F「それに名前を付けるとしたら、“覚悟”、でしょうか」
D「そうだな。こいつは何を犠牲にしたとしても、アルフレードを護ることができる男だと感じた。お前さんの言う、“鮮烈”にも似ているな」
F「それでしたら、ドクターの“強烈”もまた私がボスに感じたことでもあります」
A「フルアさんは大学のキャンパスでハインに声をかけられたのが出会いでしたよね」
F「えぇ、秘書としてスカウトされました。まだ院生であったボスが、まだ学生であった私に秘書になれというのは今考えてみれば可笑しな話です」
G「でも、フルアさんは二つ返事でボスに付いて行くことを決めたんでしたよね」
F「そうしなければいけないと思わせるほどに、鮮烈だったんです。眩しかった」
A「眩しかった?」
F「目が眩むようなものではなく、静かな光を感じたんです。そして、その光に、この人は私が求めていた存在だと確信しました」

G「フルアさんに感情がないと言い出した人に、今のフルアさんを見せてやりたいですね」
H「…あいつは、元々感情がなかったわけじゃない」
G「?」
H「お前と同じだ」
G「……」
H「昔のあいつは、出会ったばかりの頃のお前と同じ眸をしていた」
G「…そう、ですね。俺もフルアさんも、あまりにも多くのことを諦めてきた」
H「あぁ」
G「絶望を繰り返し、いつしか、絶望することにも疲れて…」
H「口ではそう言いつつ、諦め切れていなかった往生際の悪さも似ているな」
G「はは、そうですね。でも、往生際が悪かったから、ボスと出会った瞬間に見つけてしまったんです」
H「何をだ?」
G「希望を」
H「……」
G「戦場で朝陽を迎える度に、殺すか殺されるかの絶望を突き付けられてきた。ですが、あの夜…俺が見た光は闇を照らし出すのではなく、闇を切り裂くものだった」
H「…そうか」

D「表面上は冷静沈着な顔をしておきながら、あいつらの内面は熱血漢だったんだな」
A「ふふ。ハイン自身がそうですからね。あの人たちは、どこか似ています」
D「それで?アルフレードはあいつにどんな第一印象を持ったんだ?」
A「んー、一言で言うなら、“綺麗な人”かな」
D「綺麗?」
A「容姿も整っていますけど、もっと内面的なものが。オレの世界の意味を一瞬で変えてしまった光は、どんなに汚れても穢れることはないんだろうって思いました」
D「綺麗、ねぇ…。外面的にも内面的にも、それはアルフレードに対して使う言葉だと思うんだが」
H「それに関しては同意します」
D「だが、まぁ…お前さんの覚悟を形にするなら、綺麗な光の塊なんだろうな」


[02] 最近の彼についてどう思いますか?

A「オレにとっては、出逢った頃のハインも今のハインも変わらずに優しくて、愛しい人だよ」
H「お前は可愛いことを言う」
A「ふふ、擽ったいよ」
H「お前の髪は触り心地が良いな」

F「アル君と出逢い、ボスは変わりましたね」
G「昔のボスも俺たちの主として忠誠を誓うに相応しい方でしたが、俺は今のボスの方がいいです」
F「私もそう思います。何を賭けても、何を犠牲にしたとしても、護りたい」
G「ボスと、そのボスが愛する人を」
F「えぇ」
D「俺はお前さんたちほどあいつを知っているわけじゃねぇが、俺も同感だ」
F「恐らく、これからも変わっていくのでしょうね」
D「あぁ、きっとな。良い方へ、変わっていくだろう」


[03] 正直、彼をどう思っていますか?

A「オレの…オレだけの神さま。最愛の人」
F「盾となり護るべき人であり、剣となり共に戦うべき人です」
G「この命を捧げたいと渇望した唯一の人、でしょうか」

D「くっく、熱烈だな」
H「あいつらは買い被り過ぎですがね」
D「そんなことはないさ。俺も最初こそアルフレードを託すに相応しいか疑ったが、今はお前さんしか居ないと思っている」
H「…光栄です」


[04] 彼の、どうしても理解できない点は?

A「んー、強いて言うなら…」
H「言うなら?」
A「んー…あ、理解できないと言うよりは、不思議なことがあるんだけどね」
H「あぁ、何だ」
A「どうして、皆はハインが優しいことに気付かないんだろうね」
H「は?」
A「だって、ハインは本当にとても優しいでしょ。それなのに、ハインを知る人たちはみんなオレに言うんだ。“あいつは冷酷な獣みたいな男だ”、“傍に居ても傷付けられるんじゃないのか”って」
H「…俺がアルを傷付けるはずがないだろうが」
A「うん、それはもちろん。でもね、みんなハインのことを誤解しているから、それはちょっと哀しいなって思うんだ」
H「誰が言っていた」
A「え?」
H「お前を哀しませるようなことを言った馬鹿は誰だ」
A「だ、誰って…いろいろな人、だよ」
H「今度そいつに会ったら教えろ。俺がアルを傷付けることはないと言ってやる」
A「うん。ふふ、ほら。やっぱりハインは優しい」

D「あいつの優しさってのはアルフレードに対してのみ発動されるもんだろ?」
F「えぇ、まぁ。アル君に対しては特別ですね」
G「でも、アルフレード君の仰る通りでもあります」
D「どういうことだ?」
F「ボスの優しさは万人にとって共通のそれではありません。同情や温情、気遣いなどと呼ばれるものでもありません」
G「何と言うか、力の使い方が優しいんです」
D「力?」
F「COOであるボスの権力は小さいものではありません。むしろ、使い方によっては片手で何万人もの人生を捻り潰すことも容易い」
G「だからこそ、ボスは権力の使い方を熟知されておられるんです。“優しさ”とは言わないものかもしれませんが、紛れもなく、ボスの権力の使い方は俺たちにとって優しい」
D「なるほどな。それもある意味では、優しさになるのか」

A「ねぇ、先生たちはハインの理解できないところってありますか?」
D「あー、そうだなぁ…んー……」
A「フルアさんたちはありますか?」
F「いざ問われますと、思いつかないものですね」
G「俺もです」


[05] 普段言えない彼の文句、悪口はありますか?

D「この過保護野郎ー、俺の可愛い息子をたまには貸しやがれー。末期の嫁溺愛病患者めー、俺にもアルフレードを撫でさせろー」
F「利益を上げることだけがボスの職責ではありません。私が秘書として責任を持って管理しているスケジュールには大人しく従ってください」
G「アルフレード君のためにも、たまには護衛の言うことも聞いてあまり無理しないでください」

A「大切な部下さんたちからの訴求は聞いてあげなくちゃね、ボスさん」
H「そうだな」
D「お。じゃぁ、さっそく。アルフレード、おいでー」
H「ドクターの要望を飲むとは一言も言っていませんが」
D「んだよー、この独占欲の塊め」
H「何とでも」
A「ふふ。ハインと先生は本当に仲が良いねぇ」


[06] フリートーク

A「あ、そういえばね。会長さんにハインのことを聞かれたことがあるんだよ」
H「会長?うちのか?」
A「うん」
H「いつのことだ」
A「えっと、ハインと一緒にパーティーに参加したときだったかな。ハインがどこかの社長さんとお話ししているときに、会長さんが来てくれたんだ」
H「それで?」
A「“決して易しくはないと分かりながら、それでも彼と歩む道を選ぶに足る理由はなんだい?”って聞かれたの」
H「あの人はいつの間にそんなことを…」
A「会長さんはハインのことを大切に想っているんだね。とても真剣な瞳をしていたんだ」
H「…アルは、何と答えたんだ?」
A「“同じ歩幅で一緒に歩いてくれる人だから”。そう答えたよ」
H「アル…」
A「オレが躓いたり、立ち止まってしまったときは必ず手を差し伸べてくれる。どんなに祈っても、神さまは叶えてくれなかったのに…ハインは、いつだって手を差し伸べてくれるから」
H「それが、俺と歩む道を選んでくれた理由か」
A「正確には、ハインと生きたいって思った理由、かな」
H「?」
A「だって、ハインを愛した理由は“出逢ったから”で、ハインの手を取ったのは“ハインだったから”。理由は全部違うもん」
H「…お前は、本当に…愛しいな」
A「し、しみじみと言われると照れちゃうよ…」
H「やはり、アルは天使だな。アルを遣わせたのが神だと言うのなら、信じてもいなかったその存在を信じたい」
A「オレもだよ。ハインの元に遣わせてくれたのが神さまなら、信じられる」

D「おーおー、盛大にいちゃついてるなぁ」
F「時々、私たちの方が照れることがありますよ」
G「お2人にとっては、あの程度は普通のコミュニケーションのようですからね」
F「えぇ。ボスが口説きにかかっているときなどは、可哀想になるくらいアル君は真っ赤になって」
G「ボスはそれを見て、照れた顔も可愛いと仰るのでアルフレード君はますます照れてしまって」
F「微笑ましい光景ではありますが、他の部下には見せられません」
D「蕩けきった顔では、ボスの威厳もなにもないからなぁ」
F「いいえ。見せたくない、と言うべきでしたね」
D「ん?」
F「お2人がどれほど深く愛し合っているのか見せつけてやりたい、とも思いますが、その反面…護りたい、とも思うのですよ」
D「護りたい?」
F「神聖なものだと感じることがあるのです。出逢うべくして出逢った者たちの、何人にも侵してはいけない絶対的な領域だと」
D「…言いたいことは、何となく分かる気がする」

G「アルフレード君は、ボスにとって心から信頼でき、無防備な姿を晒すことができる唯一の場所ですからね」
D「確かに、あの2人の周りは空気が穏やかだ」
G「ですから、その空気を乱すような他者の介入を許したくないという俺たちの我が儘でもあります」
D「独占欲じゃなくて?」
G「…さすが、ドクターです。的確な言葉ですね」
D「まぁ、優越を感じるのは当たり前だよな。あいつらのあんな顔、誰にでも見られるものじゃねぇ」
G「そうですね。心からリラックスしていなければできない笑顔です」
D「お前さんたちにとっては、何よりもの信頼の証か」
G「えぇ、その通りです。無防備な背中を向けられることが、どれほどの喜びか」
D「アルフレードもお前さんたちの前では自然な表情をする。ありがとうな」
G「え?」
D「お前さんたちが本当に心からアルフレードを大切にしてくれるから、あの子は何の不安も恐怖もなく、お前さんたちに甘えている」
G「甘えて…?」
F「アル君が、私たちに…?」
D「あぁ。あの子にとっては、最大限の甘えだ」

F「グラース?」
G「いや、俺にも分かりませんよ…。あの、ドクター?俺たちには、いまいち分からないんですが…」
D「あの子に甘えられている実感がないか?」
F「えぇ。アル君は他人の心の機微に聡く、私たちのことも気遣ってくれます。ですが、甘えているというのは…」
G「ボスがよく、アルフレード君は我がままを言ってくれないと仰っているんですが、本当にその通りなんですよ」
D「まぁ、分かりやすくはないか。そうだなぁ…。お前さんたちは、あの子が他人に恐怖心を持っているのは知っているだろう?」
F「えぇ」
D「だが、お前さんたちのことは受け入れている。無意識に、な。人間という存在そのものを怖れていたあの子が、お前さんたちのことは怖れるものではない、と」
F「……」
D「甘えるべきときに甘えられなかった反動なのか、アルフレードは甘えることが苦手だ」
F「えぇ」
D「そんなアルフレードが、お前さんたちに無防備な自分を曝け出している。あの子にとっては、最大限の甘えだと思わないか?」
F「……」
G「……」

A「フルアさん?グラースさん?オレに何か?」
H「どうした、お前ら」
F「あ、いえ…」
G「その、今とても…言葉では言い様のない状態でして…」
H「何だそれは」
A「どうしちゃったんですか?先生、フルアさんたちと何を話していたんですか?」
D「んー?いやぁ、安心しろ。そいつらは今、言い様のない歓喜に浸っているだけだ」
A「歓喜?」

F「…ボス、」
H「何だ」
F「ボスの願いを妨げる全ての害からあなたを護る盾となることを、改めて誓います」
H「フルア?」
F「ボスが愛しく想うものを護る剣となり、切り拓かれる道の幸いを祈ります」
H「……あぁ」
G「アルフレード君は、俺たちの希望でもあります。だから、どうか…護らせてください」
A「グラースさん…」
G「共に、戦わせてください」
A「…Grazie、グラースさん」

D「良い部下を持ったな」
H「えぇ。俺にはもったいないほどです」
D「大切にしろよ」
H「アルの次くらいには」
D「ははっ!十分だろう。なぁ?」
F「光栄です」
G「これ以上の誉れはありませんよ」
D「だってよ。さぁーて!アルフレード、腹が減っただろう?飯食いに行くか。お前の旦那の奢りで」
A「ふふ。じゃぁ、スペイン料理はどうですか?この前ハインに連れて行ってもらったんです」
D「よし、決まりだな」

H「ところで、アル」
A「うん?なぁに?」
H「あざさから何を貰ったんだ?危ないものじゃないだろうな」
A「危ないものって…。ハインの中であざさはどんな人として認識されているんだろう…」
H「それで、何だったんだ?」
A「…これはもうオレのものだから、あげないよ」
H「見るだけならいいだろう?」
A「うん。約束だったからいいよ。はい、オレが2番目に好きな表情をしているハインの写真」
H「これは…執務室か」
A「1番は笑ってくれる顔だけど、お仕事中のこの真剣な顔も好きなんだよ」
H「俺はお前のその顔が一番愛しい」
A「え、あ…う…あ、ありがと…?」
H「くっく、何故疑問形なんだ」

D「いちゃついているな」
F「えぇ、いちゃついています」
G「幸せそうでなによりです」


幸いあれ。
幸いあれ。
この場所で出逢えた全ての人に、多くの光の祝福と感謝の花束を。


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